轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたりいるとき

二人いるとき

宮本 百合子

「新女苑」1938(昭和13)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,672 字 · 18 页

青空文庫

「いいじゃないの、なかなか」

「よかったわね、やっぱりこのカラーの型にして」

「そりゃそうさ、お嫂さんたらVにするなんて。そんなのないわ」

裾の長さまできめてから、多喜子は自分も立ち上って、出来栄えを眺めた。

「思ったよりよかったこと――お袖のところいいかしら? つれません?」

「――いいようよ」

桃子が、

「原さん、すっかり板についちゃったなあ」

感歎するように云った。

「本ものになっちゃった。これでお顧客さえふえりゃ堂々たるもんだわ」

「ベビー服で降参するだろうって云った人だあれ。せいぜい紹介してよ」

ピンを肌に刺さないように、そしてまた折角さしたピンを落してしまわないようにと、むき出しの両腕を揃えて頭の上へ高くあげ、それなり半身を前へかがめている尚子の頭の方から、仮縫いの服を脱がしかけていると、廊下を、ゆっくりした足どりのスリッパの音が近づいて来た。尚子が耳敏く、

「お兄様じゃない?」

桃子に、

「ちょっとまって頂いてよ」そう云っているうちに、

「いいですか?」

すこし改ったような咳払いをして幸治が外から声をかけた。

「だめよ、今入っちゃ。まだ猫に紙袋よ」

笑いながら桃子が大きい声を出した。