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にがつなのか
二月七日
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,981 字 · 8 页
「御免もう決して云わないから。
と云わせずには置かないのです。
気の勝った理智的でまた一方に非常にデリケートである彼が家族中での被注目者であった事は勿論です。
食後等はよくその頓智の利く「おどけ」で家中が笑わされました。
兄姉達は皆彼を愛し尊がって居るのですから今度の病気がどんなに多くの頭を混乱させたかと云う事は略誰にだって想像はつきます。
母は彼の床に就いたっきりで二食が一度きりになったり顔も洗えない様にして居ます。
彼女は家事の一切を引きうけて台所の世話から客のもてなしから朝からせわしくとっと、とっとと働きながら、夜は、疲れた看護婦と母を少しなりとも休ませるために四時位までずつうす赤いスタンドの下に本を並べて起きました。
ほんとうにこの一週間程の真剣さと云ったら彼女自身でも驚く程でしたところへ昨日仲働きへ電報で姉が危篤だと云うのです。
東京から五六十里北の者だったのでしたが、何にしろ死にそうだと云うのだからと云って不自由を知って帰してやりましたので、只さえ手不足だった所へ又斯うで、手足の五人分も欲しがりながら彼女は昨日一日疲れる事を知らない機械の様に働きました。