轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にじゅうしんぞう

二重心臓

夢野 久作

「オール読物」1935(昭和10)年9、10、11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,188 字 · 129 页

青空文庫

や金屏風と向い合って、奇妙に物凄い、荒れ果てた気分を描きあらわしていて、今にも巨大な一つ目小僧の首か何かが……ウワア……とそこいらから転がり出しそうな感じがする。

しかし、それでも女優の呉羽にとっては、華々しい楽屋よりもこの部屋の方がズッと落付いて、気分が休まるらしかった。劇場そのものの人気はあまり立たなかったが、それでも彼女個人としての人気は、全国の女優群を断然抜いていて、三階の彼女の楽屋では訪問客を凌ぎ切れないために、彼女はよくこの物置の片隅の秘密室へ休憩に来るのであった。

フロックコートの笠支配人はかなりの緊張した態度でイビツになった籐椅子の上にかしこまっている。これに対した彼女は派手な舞台用の浴衣一枚に赤い細帯一つのシドケない恰好で、肉色の着込みを襟元から露わしたまま傍の長椅子に両足を投出しているが、モウ話に飽きたという恰好で、大きな古渡珊瑚の簪を抜いて、大丸髷の白い手柄の下を掻いていた。

「それじゃクレハさん。貴女と轟さんの間には何も関係はないんですね。普通の関係以外には……」

呉羽は見向きもしなかった。

「何とでも考えたらいいじゃないの……イクラ云ったってわからない。