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ごえもんとしんざ
五右衛門と新左
国枝 史郎
「大衆文芸 第一巻第一号」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,405 字 · 21 页
『それそれ二度迄申されました』――で、俺は罰金を取り、京大阪伏見の住民へ、米を施してやったものだ。……俺は断じて※(「封/帛」、第4水準2-8-92)間では無い。俺は俺の舌三寸で、成上者の我儘を、抑え付けている警世家だ! と実は今日まで信じて来たのだが、どうも今では其の自信が土台下から崩れて来た。一体全体俺の頓智が、どの位い世の為めになってるか? これが第一疑わしい。せいぜい殿下の臍繰を攫って、施米するぐらいがオチでは無いか。そうして殿下の我儘は、そのため毫も抑えられはしない。次に俺に就いて考えて見るに、警世家で候、諷刺家で候と、よく口癖には云うけれど、態度たるや然うでは無い。軽口頓智を申上げ、それで殿下がお笑いになれば、唯無性と嬉しくなる。こういう心持は何う弁解しても、傭人の卑窟心だ。操っている操っていると思い乍ら、いつか人形に操られている、可哀そうな馬鹿な人形師! どうやら其奴が俺らしい。成程なあ、こうなって見れば、浪人した五右衛門は利口だわえ」
彼は怏々として楽しまなかった。
五
剽盗になってからの五右衛門は、文字通り自由の人間であった。