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ごかいのまど

五階の窓

国枝 史郎

05 合作の五

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,651 字 · 16 页

青空文庫

人もずいぶん通っている。

と、一人の薄汚い男が手早く艶子へ紙片を渡した。

「あっ、こいつは怪しいぞ!」

長谷川は呟いたが、笑いだしてしまった。

(おれもこうなると探偵狂だよ、ひろめ屋がちらしを配ったのさえ、ものものしく見なければならないんだからなあ)

ひろめ屋は彼へもちらしをくれた。

“十五銭均一、紳士の食べる洋食”

こう印刷がされてあった。

“浮世はたいへん暮らしよくなった。いまに見ていろ、十五銭均一で紳士の定食が食べられるから”

なにげなく裏を返してみた。

(これは驚いた、どうしたことだ!)

ちらしの裏に万年筆で、こんなように書かれてあったからである。

“きみが艶子をつけているように、ぼくはきみをつけているよ”

これには相当驚いてよい。

長谷川はじっと字面を見た。

どうしたものか笑いだしてしまった。

(このトリックはもう古いや。外国の下手な探偵作家があきあきするほどくり返し、そうして日本の探偵作家が真似をしはじめたトリックだ。だが、手数はかかっている。だれかが――おれには分かっているが、とにかく艶子をつけているのだ。そうして、おれがつけているのが、ちょっと邪魔っけに思われるのだ。