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ごかいのまど
五階の窓
小酒井 不木
06 合作の六(終局)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,512 字 · 43 页
彼の艶子に対する恋がまったく遊戯的であって、むしろ艶子を社長に取り持とうとしている様子のあることは自分にもありありと分かっていた。ところが、いまや社長は死んだ。だから、彼は今度は自分自身のために艶子に言い寄るに違いない。こう思うと、彼は北川がもはや放免されたのではないかと気が気でなかった。で、いま恒藤司法主任の前に立ったときにさえ、なお北川のことを忘れかねていたのである。だから、恒藤主任が、
「きみ、いま北川くんから聞いたことだが……」
と口を尖らして言いかけたときには、腫物へ手を触れられたときのようにぎくりとしたのである。主任は野田の心のうちなどいっこうおかまいなしに言葉を続けた。
「北川くんが一昨日、四時十五分に社長室に入ったら、きみはその時、社長室にいたというではないか。きみはいったい何をしていたのかな?」
野田はこれを聞くなり、目の前が暗くなるように思った。
(とうとう北川のやつ、しゃべったな。会社および社長のためを思って、あれほど固く口止めをしておいたのに)
と思うと、野田は腕っ節が鳴りだすように感じた。で、どう答えてよいか、その返答の言葉を探す暇もないほど、北川に対する憎悪の念でいっぱいになった。