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ごかいのまど

五階の窓

小酒井 不木

06 合作の六(終局)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,512 字 · 43 页

青空文庫

だから、北川くんはたぶん、わたしが社長を殺して二千円を盗んだのだと申し上げただろうと思います。しかし、それはそれとしまして、その夜わたしは宿直であったのをさいわいに社長が買い込んだ贋造紙幣をことごとくストーブで燃やしてしまいました。わたしよりほかに知る人はありませんから、そうすれば社長の名誉は永遠に救われると思ったからです。けれど、後日の証拠のために、社長室のデスクの抽斗から取った二千円のうち、千円だけをこうして残しておいたわけです」

恒藤主任はこの長い野田の陳述をマスクのような無表情な顔をして聞いていたが、なにを思ったか、にっこり笑って言った。

「きみの陳述はすこぶる筋がよく通っている。しかし、たったひとところ不審なことがあるよ」

「えっ?」

「分からぬかね。ちょうど四時十五分ごろに、この贋造紙幣を社長室に取りに入ったことさ」

「それがどうしたというのです?」

「きみはなかなか頑固だね。では、言って聞かせてあげよう。この贋造紙幣と、いまのきみの陳述とからしてぼくはこう推定したのだ。きみは社長から二千円を渡してくれと言われて、社長に内証で贋造紙幣を渡したのだ。