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ごかいのまど

五階の窓

甲賀 三郎

04 合作の四

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,373 字 · 25 页

青空文庫

16

それで、良心が咎めていらっしゃるでしょう。わたしは探偵でも記者でもありませんから、秘密はきっと守りますよ。ね、おっしゃってください」

眉一つ動かさず、不気味な面のような顔をしていた艶子は、ぱっとつっ伏すと激しくすすり泣きを始めた。

16

「どうだい、獲物はあったかい」

「うん、小説家としての獲物はあったね」

「小説家としての獲物って、なんだい」

「小説家はね、実際なんかどうでもいいのさ、空想を働かすのさ」

「空想か、そいつは困るな」

小説家の長谷川と新聞記者の山本は例のごとく、カフェー『すみれ軒』でブラジルコーヒーをすすりながら話していた。ガラス戸越しに、大きな牡丹雪が忙しそうに降っている。午後二時、ほかに客の姿は見えない。

「空想はいけないかい。じゃ、きみのほうは?」

「ぼくのほうは活動を続けているさ。もっとも、新聞社のほうは警察みたいに人を喚問したり、訊問したりすることはできないから、でき得るかぎり事実を探聞するだけだ。二、三、新事実を発見したよ」

「教えてもらえないかね」

「そう下手に出られると教えざるを得んね。第一は新嫌疑者の追跡さ。舟木――」

「え?」

「舟木新次郎といってね、西村商会の工員なんだが、死んだ社長の愛人の弟でね、なんでも公私ともに西村を恨んでいるらしいのだ。