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じんせいせいかいいん

人生正会員

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,238 字 · 23 页

青空文庫

前の奥さんより一つ若い上に、子供を生まなかったから、コッテリお化粧をすると四十台に見えるんだ。しかし社長は鼻息が荒い。こんな婆さんが何になるのかと言って、問題にしない」

「再婚の意志があるんですか?」

「駄目だな、君は。始終側についていながら」

と青山さんはひどい。此方は大事を取って、報告を延期していたのだ。

「確証を握ってからと思って待っていたんです」

「意志があるのないのじゃない。三十台で初婚で美人でなければ困るという註文だ」

「へゝえ?」

「悉皆若返ってしまった。しかし三十台で初婚で美人と三つ条件の揃うものはなか/\ない。美人なら三十にならない中に誰か貰ってしまう」

「二十台ならあるでしょう」

「あるけれど、先方で来ない。此方は六十の爺さんだ」

「矢っ張り一種の大悟徹底ですよ。図々しい方へ突き抜けてしまったんです。呆れ返って物が言えません」

と僕は少し癪に障って来た。会社中で僕が一番余計に空念仏を聞かされたのだった。

「実は家内も憤慨した。同い年のものを婆さんと呼ばれゝば、好い心持がしない。前の奥さんを侮辱することにもなると言って、早速逆襲に出掛けたんだ」

「成程。