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じんせいせいかいいん

人生正会員

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,238 字 · 23 页

青空文庫

積極性の悟り

「見給え。乗り出して来た」

「そういう次第でもないですけれど」

「二十四の青年なら、十二に七だから、嫁さんは十九になる。これは大いに根拠があると賛成したら、忽ち家内に胸倉を取られたよ。ハッハヽヽ」

と青山さんは大笑いをして行ってしまった。

積極性の悟り

「あゝ、社長、忘れていました。この間築地の待合の女将から電話がかゝって来ました。社長の数珠がお預りしてあるそうです」

と僕は突如言ってやった。一寸の虫にも五分の魂だ。再婚多妻論を主張しながら、陰に廻って縁談の註文をつけている。僕は社長の二重取引が癪に障ったのである。

「ふうむ?」

「行って取って参りましょうか?」

「それには及ばない」

「すると熊谷はもう廃業でいらっしゃいますか?」

「何?」

「熊谷直実です」

「そんなことよりも電話がかゝっている。早く出なさい」

社長は折からの電話が勿怪の幸いで、高圧的に僕を遮った。僕もそのまゝ追究を続けなくて宜かった。社長に食ってかゝったところで、何うせ勝てるものではない。電話が僕の迫った心持を弛めてくれた。尤もそれまでには次のような遣り取りがあった。

「簡単に断ってしまったが、誰からだい?」