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じんせいせいかいいん
人生正会員
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,238 字 · 23 页
三十七として置く。それ以上でもなく、以下でもなし。そういうのはないだろうかね?」
「それは広い世間ですもの、お子さんのない未亡人でお綺麗な方がございましょう」
「綺麗ということは条件だけれど、未亡人はいけない。独身で、いや、未婚、いや/\、初婚でないと困る」
「すると初婚でお綺麗で三十七でございますわね」
「うむ。一つ探して下さい。小野寺君と力を併せて」
「僕も及ばずながら心掛けます」
暮春の宵の朧月夜だった。社長邸を辞して電車の停留場へ向う途中、
「美人で初婚で三十七。むずかしい註文を引受けた」
と僕が呟いた。
「三十七とお切りになったのは何ういう次第でしょうかね?」
と妻は探究的興味に刺戟されていた。
「それは西洋の公式さ。自分の年を二で割って七を加える」
「一つぐらい上でも下でも宜かりそうなものなのに、何か意味がありそうね」
「あれで変に几帳面なところがあるんだよ」
「あなた」
「何だい?」
「大野の芳子さんはお幾つでしょうか?」
「芳子さんか? あの人は僕より三つ多いかな。いや、二つ多い。神戸の姉と同じだ。三十七だ。おや/\」
「御覧なさい」
「未婚だね。ピアノの修業が一生懸命で有らゆる縁談を断ってしまったんだから」