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じんぞうものがたり
人造物語
海野 十三
「新青年」1931(昭和6)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,674 字 · 17 页
人間だということが知れる。そのロボットが、今日では人造人間の別称となったのである。
* *
最初に出来た人造人間は、倫敦の街をひょこひょこ歩いて、市民を驚かした。椅子から立ちあがったり、椅子に腰を下ろしたり、手をふったりすることが出来た。鳥渡見たところの感じは、人間タンクのようでもあり、ローマ時代の甲冑姿の武人の再来のようにもみえた。決して、やさしい婦人姿のロボットなんてえのは出てこなかったのである。
独逸映画「メトロポリス」には、ブリギッテ・ヘルム扮するところの可憐なるロボットが製造せられるが、こんな美しいロボットは実在しない。
あの映画が、東京の邦楽座に出たとき、築地小劇場の連中が、「メトロポリス」の実演をやった。そのとき沢山の美しいロボットが、短い労働服で出てきて、点々として器械的に働いていた。その端麗にして無感情な顔や、柔かそうな白い二の腕や、短いパンツの下から、ニュッと出ている恰好のよい脚などは、――勿論、本当の女優さん方の演出であるが――「魂のない人間」に扮しているだけに、非常に蠱惑的なものがあった。屍姦だとか、人形を弄んだりする人達の気分が、なんだか判るような気がしたことである。