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にんげんかい

人間灰

海野 十三

「新青年」博文館、1934(昭和9)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,345 字 · 33 页

青空文庫

「報告に参りました」

「ああ、君か。いや御苦労だった。あれはどうだったネ」

その巡査は、署長の命令によって、今朝から右足湖畔をめぐって捜索して来た者だった。

「御命令によりまして、第一に空気工場へ参りました。午前八時でしたが、気球は地面に四基だけ結んでありました」

「四個?」署長は手帖を拡げて首をかしげた。

「陳述によると、懐中電灯ニヨリ三個ノ気球ヲ認メタ――とある。すると君の報告の方が一つ多いね」

署長は鉛筆を嘗め嘗め三個の横に4とかいた。

「第二の、湖尻で村尾某の乗りました舟を探しましたが見当りませんので」

「舟が見当らぬ? そうか。湖水の中を探ってみるんだネ」

「それからトラックの跡で、墓場から青谷二郎の家までついていたという話でしたが、これはハッキリ見えませんでした。誰かが地均しをしたような形跡は見ました」

「フン、フン」と署長はまた手帖へ書きこんで「それからあと、どうした」

「次は新仏のことですが、あれは確かにございました。峰雪乃の墓です。これは初産に気の毒にも前置胎盤で亡くなりましたので……。この墓については大体おっしゃった通りでしたが、ただ違いますとこは、新仏の上は土が被せてあるというお話でしたが間違いで、もう既に綺麗な土饅頭ができていました」