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にんげんかい

人間灰

海野 十三

「新青年」博文館、1934(昭和9)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,345 字 · 33 页

青空文庫

そしてとうとう貴下の仕かけて置いた罠に陥ってあの最期です。僕もあのときは、もっと上等の扮装をして一行に加わっていたので、『幽霊』という言葉とかねて血型の相違についての疑問とによって、夫人の生存していることを悟りました。そして一足お先に夫人と共にこっちへ帰っていたのです。逢いたければ夫人をここへ連れてきましょうか」

一座の駭きの中に、青谷は眼を閉じた。しかし暫くするとまた頭を上げて云った。

「すると貴下は一体誰ですか」

「僕ですか」と髭男が云った。「僕はこの右足湖畔の怪を調べるために、東京から派遣されたこういう者です。犯人を捜す便宜のため、署長さんに永く隠して貰っていたのです」

そういって、青谷技師の手錠の上へ一枚の名刺を置いた。それには「私立探偵帆村荘六」とあった。