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がんりゅうじま

仇討二十一話

直木 三十五

直木三十五『仇討二十一話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:巌流島、相馬の仇討、傾城買虎之巻。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,854 字 · 35 页

青空文庫

主人と女房とで、礼式、遊芸のたしなみを聞くと、

「一通りは」

と云う。君太夫が散々(さんざん)「武家出」と云っていたが、怪しいと思って、茶の手前をみると、通仙の娘である。貞柳の友人の子だから上手である。

「三味は」

と、弾かすと、義太夫の食客(いそうろう)、トテシャンと弾く。

「琴は」

「矢張り、トテシャンと弾きます」

「うむ、洒落まで出来る」

とすっかり気に入って、八畳と六畳の二間を与え、新造一人に禿(かむろ)をつけて、定紋付きの調度一揃え、

「初店瀬川」

と改良半紙二枚を飯粒でつないで、悪筆を振ったのを、欄間へ張る。――とにかく店を張る事になったが、瀬川の心の中では、

「池の水に夜な夜な月は映れども」

である。諸国諸人の集まり場所、もしや夫の敵の手がかりでもあろうかと、母に与えられた短刀を箪笥(たんす)に秘めている内に、

「割符(わりふ)か、よし押してやろ」

と、ぺたりと御念入りにも盗んだ、人の印形まで、大べらぼうの盗人は押してしまったのである。

六

この盗賊、誰あろう。奈良で鹿を殺して通仙の門口へおいた若党源八であるから、この名高い松葉屋瀬川の仇討も※であるとしか思えなくなる。