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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「や、貴殿は山岸氏ではないか」と驚いたように声をかけた。
主税も驚いて透かして見たが、
「何だ貴公、鷲見ではないか」
「さようさよう鷲見与四郎じゃ」
それは同じ田安家の家臣で、主税とは友人の関係にある、近習役の鷲見与四郎であった。
見ればその他の武士たちも、ことごとく同家中の同僚であった。
主税は唖然として眉をひそめたが、
「呆れた話じゃ、どうしたというのだ」
「申し訳ない、人違いなのじゃ」
言い言い与四郎は小鬢を掻いた。
「承知の通りのお館の盗難、そこで拙者ら相談いたし、盗人をひっ捕らえようといたしてな、今夜もお館を中心にして、四方を見廻っていたところ、猿廻しめに邂逅いたした」
「猿廻し? 猿廻しとは?」
「長屋の女小供の噂によれば、この頃若い猿廻しめが、しげしげお長屋へやって来て、猿を廻して銭を乞うそうじゃ」
「そこで、怪しいと認めたのじゃな」
「いかにも、怪しいと認めたのじゃ。……その怪しい猿廻しめに、ついそこで逢ったので、ひっ捕らえようとしたところ、逃げ出しおって行方不明よ」
「なに逃げ出した? それなら怪しい」
「……そこへ貴殿が土塀を巡って、突然姿をあらわしたので……」