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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
龕燈を持った老人で、それは「飛加藤の亜流」であった。
飛加藤の亜流は雨戸の隙から出て、梯子をソロソロと降り出した。
飛加藤の亜流が地へ下り立ち、お八重と顔を合わせた時、お八重の口から迸しり出たのは、「叔父様!」という言葉であった。
「姪か、お八重か、苦労したようだのう」
飛加藤の亜流はこう云って、空いている片手を前へ出した。
お八重はその手へ縋りついたが、
「叔父様、どうしてこのような所に……」
「わしは飛加藤の亜流なのだよ、どのような所へでも入り込まれるよ。……お前の父親、わしの実兄の、東海林自得斎が極重悪木を利用し、自由に人が殺せるようにのう。……それにしてもわし達兄弟は、何という変わった兄弟であろう。徳川によって滅ぼされた、小西摂津守の遺臣として、徳川家に怨みを抱いていることは、わしも兄上も同じなのではあるが、兄上は魔神の世界に住んで、悪木を作り人を殺し――田安中納言家をはじめとし、徳川家に縁ある人々を殺し、主家の怨を晴らそうとしているのに、わしは一念頓悟して、誠の教の庭に住み、真実の人間を目つけ出そうとして、乞食のように歩き廻っている。……わが兄ながら惨忍な、実の娘を間者として、田安家の大奥へ住み込ませ、淀屋の独楽を奪わせようとは……」