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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

……ところで俺はどうしたものかな?)

頼母にとっては松女の命などより、淀屋の財宝の方が大切なのであった。主税やあやめなどを討ってとるより、独楽の秘密を解くことの方が、遥かに遥かに大切なのであった。

で、危険な屋内などへは、入って行く気にはなれないのであった。

太刀音、掛け声、悲鳴などが、いよいよ烈しく聞こえてはきたが、頼母ばかりはなお門口に立っていた。

するとその時老人の声が、どこからともなく聞こえてきた。しかもそれは歌声であった。

(はてな?)と頼母は聞き耳を立てた。

※(歌記号、1-3-28)真昼頃、見る日は南、背後北、左は東、右は西なり

歌の文句はこうであった。

そうしてその歌声は林の奥の、古沼の方から聞こえてくる。

「見る日は南と云ったようだな」と頼母は思わず声に出して云った。

(見る日は南というこの言葉は、独楽の隠語の中に有ったはずだ。その言葉を詠み込んだ歌を歌うからには、その歌の意味を知っていなければならない)

頼母は歌の聞こえた方へ、足を空にして走って行った。

歌の主を引っ捕らえ、歌の意味を質そうと思ったからである。

歌声は林に囲繞された大古沼の方から聞こえてきた。