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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「事件が昨夜のことにござりますれば、今夜とあるは昨夜のこと。で、昨夜館の裏門にて、何事かありましたと解釈すべきで……」
「なるほどな。……で、何事が?」
「山岸主税の申しまするには、お館の中に居る女の内通者が、外界の賊と気脈を通じ、昨夜裏門にて密会し……」
「館の中に居る女の内通者とは?」
「その数字の書体、女文字とのことで」
「うむ、そうらしい、わしもそう見た」
「それにただ今うかがいますれば、その独楽は奥方様の御秘蔵の品とか……さすれば奥方様の腰元あたりに、賊との内通者がありまして、そのような隠語を認めまして、その独楽の中へ密封し、ひそかに門外へ投げ出し、その外界の同類の手に渡し、昨夜両人裏門にて逢い……」
「なるほど」
「内通者がお館より掠めました品を、その同類の手に渡したか……あるいは今夜の悪事などにつき、ひそかに手筈を定めましたか……」
「うむ」と云うと中納言家には、眉の辺りに憂色を浮かべ、眼を半眼にして考え込まれた。
腰元の死
「頼母」
ややあって中納言家は口を開いた。
「これはいかにもお前の言う通り、館の中に内通者があるらしい。そうでなくてあのような品物ばかりが、次々に奪われるはずはない。