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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「威嚇かな。怖いのう」
「アッハッハッ、そうでもござるまい。怖いのうと仰せられながら、一向怖くはなさそうなご様子。いや貴殿もしっかりものらしい。……ご藩士かな? ご直参かな? 拙者などとは事変わり、ご浪人などではなさそうじゃ。……衣装持物もお立派であるし。……いや、そのうち、我らにおいて、貴殿のご身分もご姓名も、探り知るでござりましょうよ。……ところでお尋ねしたい一儀がござる。……曲独楽使いの女太夫、浪速あやめと申す女と、貴殿ご懇意ではござりませぬかな?」
言われて主税はにやりとしたが、
「存じませぬな、とんと存ぜぬ」
「ついそこの曲独楽の定席へ、最近に現われた太夫なので」
「さような女、存じませぬな」
「嘘言わっしゃい!」と忍び音ではあったが、鋭い声で浪人は言った。
「貴殿、その独楽を、浪速あやめより、奪い取ったに相違ない!」
「黙れ!」と主税は怒って呶鳴った。
「奪ったとは何だ、無礼千万! 拙者は武士だ、女芸人風情より……」
「奪ったでなければ貰ったか!」
「こやつ、いよいよ……汝、一刀に!」
「切ろうとて切られぬわい。アッハッハッ、切られぬわい。……が、騒ぐはお互いに愚、愚というよりはお互いに損、そこで穏やかにまた話じゃ。