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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

この異様なユネスコ憲章を愚弄したような第一回集会に、森戸文相は祝辞を与えた。

ユネスコ運動者の第一回の試みは、彼等が予想したよりも一般からのきびしい批難を蒙った。第一回の会合のために組織されたグループは、表面上一応解体したと告げられた。新しく東北地方の大学教授を中心とするユネスコ協力会が仙台に生れた。そして全く新しい構想で東京においてもユネスコ協力会を組織するということで、一九四八年のはじめ準備会が開かれた。準備会に出席した人々は、何処かでこしらえあげられていた委員の名前が読みあげられた時、意外の感に打たれた。委員の中には、もと外交官、商人などのほかに、また例の貴族と石川達三が加えられていた。そしてユネスコ憲章は、原則として団体加入であるのに、日本のユネスコ運動者たちは、理解されにくい彼等独特の理由をもっているかのようにがんこに民主的団体の団体加入を拒絶している。

今日までの経過をみると、日本におけるユネスコ運動は、一般の人々に希望よりも心配を与えている。人々は自分たちがよく選んで健康な種子をまこうと思っていた畠に、何時の間にか誰かの手で消毒されていない古い種子がまかれてしまっているのを発見した農夫のような苦痛を感じている。