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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

すべての国で農夫は、虫の喰っている種子を嫌う。文化運動についてもこれは同じことである。非民主的な日本の政府は、日本におけるユネスコ運動が、人民のアクティヴィティの一つとして表現されることを極端に嫌っている。日本の一般人が、国際組織について十分知らされていず、はっきりした定見を持たないうちは、文部省ユネスコで日本の文化運動を統一しようとしている。即ちユネスコの名をかりて文化統制を行おうとしている。

パリ総会における討論の内容を検討すると、そこに暗示的なさまざまの問題がある。国際文化提携の組織として、ユネスコがもし一つのある思想や文化によって国際的統一を結果するような方向になれば、ユネスコの本来の人道的理想は根柢からくつがえるであろう。人類の文化的富は、地球上の各民族がそれぞれの社会的条件と歴史によって、ますますゆたかに生み出す独自的な文化の総和でなければならない。一国内におけるユネスコ運動は、その国の内部にある反野蛮的なファシスト的なすべての文化的善意をたすけ、その活動を高める作用を持たなければならない。文部省のユネスコ運動を真に民主的で自主的な、人類の国際文化運動にまで改善してゆくことは日本における民主的な文化活動の義務である。