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こんにちのじもく

今日の耳目

宮本 百合子

「現地報告」1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,228 字 · 11 页

青空文庫

のではないだろうか。そして、その可能性は具体的なものでなくてはならないのではないだろうか。

同じ学生でも、夜の学校に行っているものは、昼間勤めて月給をとっているという理由で、市民税を納めることになった。親の仕送りをうけている学生は市民税は払わない。昼間つとめている少年だの若者たちの得ることの出来る月給とは、一体いかほどのものであろう。

親の仕送りをうける学生は眼前に親の生活の経済的な助けとはなっていない。昼間勤めている夜の学校の学生は、月給の全部を自分だけで使ってしまっているという方が寧ろ珍しいであろう。月謝のためだけに昼間勤めてはいないのであろうと思う。市民税を納めることに、勤労市民の一人としての誇りを感じようとする心は、上級学校への道の封鎖や戸主であるなしの問題、その他の現実を思いめぐらしたとき、前途に洋々たる展望を描き出すことの困難さに当惑するであろうと思われる。青年に期待するというのは、どういう実際を指すのであろう。

昭和十一年三月という、今日では殆ど用に足りない古い統計でさえ、甲種実業学校の入学志願者は十九万人近く、入学者は十万五千三百九十八人という数を示している。