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ぶっぽうそうちょう
仏法僧鳥
斎藤 茂吉
「時事新報」1928(昭和3)年1月4日、5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,351 字 · 11 页
その声は如何にも清澄で高野山上で聴いたのよりももっともっと美しかった。それから三峰では直ぐ頭の上で啼くので、しぼるような肉声も明瞭であり、人工説などの成立つ余裕も何もなかった。T君も私もしばらく苦笑して居らねばならなかった。ただ私等はおもう存分仏法僧鳥のこえを聴き、数日してO先生が山の上にのぼって来られたとき、T君も私もO先生のまえに降伏してしまった。
私の写生文はこれでしまいであるが、約めて一言とすることが出来る。どうも高野山上の仏法僧鳥のこえは、あれは人工ではなかった。あれを人工だと疑い、それを立証しようとした学説には手落があって、結局その学説は負けた。けれどもこういうことが云えるだろう。ああいう夜鳥は早晩高野山上から跡を絶つかも知れない。そうして玩具の仏法僧鳥をばあそこの店で売る時が来るかも知れんとこういうのである。