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ぶっぽうそうちょう

仏法僧鳥

斎藤 茂吉

「時事新報」1928(昭和3)年1月4日、5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,351 字 · 11 页

青空文庫

四人は杉の木の根方の処に蹲跼み、樹にもたれ、柵の処に体をおしつけてその声を聞いている。声は、木曾で聴いたのよりも、どうも澄んで朗かである。私は心中秘かに、少し美し過ぎるように思って聴いていたが、その時に既に心中に疑惑が根ざしていた。併し声は蔑るべからずいい声である。その澄んで切実な響は、昼啼く鳥などに求めることの出来ない夜鳥の特色を持っていた。

そのうち、声は段々近寄って来た。

そうして聴くと鳥はまさしく二つ居て、互いに啼いているのである。鳥は可なり高い樹の梢で啼くらしいが、少くとも五六町を隔てている。私等は約一時間その声を聴いた。

『どうも有難い。ようございましたね』

O先生はこう云われた。四人は踵を返した。

『これで愈々、後生も悪くはないようなものだ』などと云い云い、石段を下りて無明の橋のへんに差しかかった頃であった。

『どうですか。木曾のと同じですか』こう突然T君に私がたずねた。

『いや実は僕もさっきから少し美し過ぎると思って聴いていたんだが』こう答えた。その間にくどい思慮をめぐらすというようなことも無かった。

『そうでしょう。あれは怪しいですよ。