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きゅうじつに

休日に

藪田 忠夫

――工場に働く女工さん達に捧ぐ――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,614 字 · 4 页

青空文庫

胸一杯に吸いこんだ空気

甘い甘い麦のかおり 何故となくきれぎれに思い出てはあとかたもなく消えて行く

幼ない時の楽しい思い出

一月目に見る村の麦畑の何んと伸々と変っていることだろう

風呂敷包を下げ 胸をふくらせ

休日の久方ぶりに 村の本道を帰って来た私

おしつけてもおしつけても湧き上って来る此のうれしさ

休み日ごとに

家に故里に かえりたい心は

せき上げて来る潮のように 体中をかけめぐり

考えも感情も何もかも ぎりぎりと巻きからめてしまうけれど――

ああ お母さん

貴女はもう私を待ち兼ねているだろう

おいしく ふつふつと味噌汁をたいて私を待ちかねているだろう

一生貨車馬のように 野良と台所で働き通し

何の楽しみもなく年老いて行った

私のおかあ

おととい引いた七円の給料は財布ごとお父に渡そう

――近頃はこんなに取り賃が少ないけれど

以前の半分にも時には三分の一にしかならないけれど

お父さん 私は怠けているのではない

前よりも もっともっと精出して 夜 寄宿にかえると

耳の中が ガンガン鳴っているまで働き通しているのだけれど

――罰の出る日など私はこんなに気をつけて取っているのに――