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よれいはつたび
余齢初旅
上村 松園
――中支遊記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,003 字 · 32 页
煙雨楼へゆくには自動車からおりて少し歩いて、それから船にのってゆくのだが、その船を姑娘船という。若い娘が船を漕いでゆくのもある。姑娘のきれいなのが船をこぐのだという。この船の中が彼女らにとっては自らの家なのである。生活のすべてなのである。私もその船へはいって姑娘を写生した。船の中に赤い毛布をのばして敷き、それにくるまってねるのである。狭い船を自分の家にして住まっている。船には網代の苫のようなものが三つほどあって、真中に鏡台やら世帯道具やらがおいてある。大体母と娘だが、なかには娘だけ二人住んでいるのもあった。
それら姑娘船の娘たちの中にはなかなかきれいなのもいて、パーマネントをかけたりしているが、それは日本のとはちがって支那風にそれをうまくこなしていて、支那服と髪とがよく調和を保っていた。娘たちはうっすらと化粧をほどこしている。また彼女らはいかにもきめがこまかできれいである。すべて油でいためてたべるというその風習のためなのであろうか、きめが大へん美しい。嘉興の煙雨楼は湖中の島なので景色のいいところであった。
汪精衛閣下
上海へ帰って、十三日の朝八時急行で南京へ出発したが、その日の午後三時頃着いた。