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よれいはつたび

余齢初旅

上村 松園

――中支遊記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,003 字 · 32 页

青空文庫

汪精衛閣下はその時、室内は光線が悪かろうと支那語で言って居られて、庭園の中へ出て、御自身で扉をしめられたり、陽ざしのいい明るいところへ御自身で一同を導いてゆかれるのであった。そこにもまた黄菊、白菊が咲き乱れてまことによい香りをはなっていたが、ここらがよろしかろうというので、そこで皆が並んで写真を撮影したのであった。

お話のはしはしからでも、汪精衛閣下が絵に対してもなかなか深い趣味を有して居られるということがうかがわれて頭がさがるのを覚えた。

光華門

翌日、この地に博物館があるというので、それをさっそく観に出かけた。博物館では、きっと昔の人のかいたいい作品が数多く観られることであろうと楽しみにして出かけてみたが、中へはいってみると案に相違して何もこれというほどの観ごたえのあるものがなかった。

玉石の大きな盤にこまかな文字を書いたものや、乾隆の墨や朱などが沢山あり、その他書の巻子本もあったが、絵画の点ではあれだけの絵画国でありながら見るべきものの一つもなかったというのは、いかにも淋しいおもいがした。

他には石仏の重い、動かせないようなものがあったり、動物の剥製などがあった。