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さっかのぞう

作家の像

太宰 治

太宰治自嘲式地刻画一个写不出随笔的作家,纸团堆满桌,想说的真话总被自己否定。看他如何在自我怀疑与表达欲之间拉扯。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,508 字 · 8 页

青空文庫

なんの随筆の十枚くらい書けないわけは無いのであるが、この作家は、もう、きょうで三日も沈吟をつづけ、書いてはしばらくして破り、また書いては暫くして破り、日本は今、紙類に不足している時ではあるし、こんなに破っては、もったいないと自分でも、はらはらしながらそれでも、つい破ってしまう。

言えないのだ。言いたいことが言えないのだ。言っていい事と言ってはならぬ事との区別が、この作家に、よくわからないのである。「道徳の適性」とでもいうべきものが、未だに呑み込めて居ない様子なのである。言いたい事は、山ほど在るのだ。実に、言いたい。その時ふと、誰かの声が聞える。「何を言ったって、君、結局は君の自己弁護じゃないか。」

ちがう! 自己弁護なんかじゃ無いと、急いで否定し去っても、心の隅では、まあそんな事に成るのかも知れないな、と気弱く肯定しているものもあって、私は、書きかけの原稿用紙を二つに裂いて、更にまた、四つに裂く。

「私は、こういう随筆は、下手なのでは無いかと思う。」と書きはじめて、それからまた少し書きすすめていって、破る。「私には未だ随筆が書けないのかも知れない。