轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いど
作家の自伝102 伊藤左千夫
伊藤 左千夫
伊藤左千夫『作家の自伝102 伊藤左千夫』。同一底本的分册已合并为一书。收入:井戸、家庭小言。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,100 字 · 19 页
外国へ飛び出さんとの念を起せるも一二度ではなかった。只予の性質として人の子とあるものが只自己一身の功業にのみ腐心するは不都合である、両親を見送っての後ならば、如何なることを為すとも自己の一身は自己の随意に任せてよいが、父母猶存する間は父母と自分との関係を忘れてはならぬ。よし遂に大業を遂げたりとするも、其の業の成れる時既に父母は世に存せざるならば、父母に幸福を与えずして自己の幸福を貯えた事になる。人の子として私心的態度と云わねばならぬ。世の功名家なるものに人情に背けるの行為多きは、其の私心熾なるが故に外ならぬ。
常に以上の如き考を抱いて居った予は、遠大な望などは少しもない。極めて凡人極めて愚人たるに甘ぜんとしていた。予は一切の私心的希望を捨てて、老母の生先十数年の奉養を尽さんが為に、凡人となり愚人となるに甘ぜんと心を定めた時に不思議と歓喜愉快の念が内心に湧いたのである。他人の為に自己の或る点を犠牲にして一種の愉快を得るは人間の天性であるらしいが、予が老いたる父母の生先の為に自己の欲望を捨てたのであるから、何となく愉快の念が強い。之に依って見ると人間の幸不幸という事は、人々精神の置きどころ一つにあるのであるまいかと思った。