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かじつ
佳日
「改造 第二十六巻第一号」改造社、1944(昭和19)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,912 字 · 30 页
」私には、自信が無かった。
「いや、そんな事はない。このごろ、いい薬が発明されたそうですからね。イタリヤ製の、いい薬があるそうです。北京で彼は、そのイタリヤ製をひそかに用いたのかも知れない。」
うまく、まとまった様子であった。すべて、山田君のお骨折のおかげであろう。しかるに、昨年の秋、山田君から手紙が来て、小生は呼吸器をわるくしたので、これから一箇年、故郷に於いて静養して来るつもりだ、ついては大隅氏の縁談は貴君にたのむより他は無い、先方の御住所は左記のとおりであるから、よろしく聯絡せよ、という事であった。臆病な私には、人の結婚の世話など、おそろしくてたまらなかった。けれども、大隅君には友人も少いし、いまはもう私が引受けなければ、せっかくの縁談もふいになってしまうにきまっているし、とにかく私は北京の大隅君に手紙を出した。
拝啓。山田君は病気で故郷へ帰った。貴兄の縁談は小生が引継がなければならなくなった。しかるに小生は、君もご存じのとおり、人の世話など出来るがらの男ではない。素寒貧のその日暮しだ。役に立ちやしないんだ。けれども、小生と雖も、貴兄の幸福な結婚を望んでいる事に於いては人後に落ちないつもりだ。