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かじつ
佳日
「改造 第二十六巻第一号」改造社、1944(昭和19)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,912 字 · 30 页
なんでも言いつけてくれ給え。小生は不精だから、人の事に就いて自動的には働かないが、言いつけられた限りの事は、やってもよい。末筆ながら、おからだを大事にして、阿片などには見向きもせぬように、とまたしても要らざる忠告を一言つけ加えた。私のその時の手紙が、大隅君の気にいらなかったのかも知れない。返事が無かった。少からず気になっていたが、私は人の身の上に就いて自動的に世話を焼くのは、どうも億劫で出来ないたちなので、そのままにして置いた。ところへ、突然、れいの電報と電報為替である。命令を受けたのである。こんどは私も働かなければならなかった。私は、かねて山田君から教えられていた先方のお家へ、速達の葉書を発した。ただいま友人、大隅忠太郎君から、結納ならびに華燭の典の次第に就き電報を以て至急の依頼を受けましたが、ただちに貴門を訪れ御相談申上げたく、ついては御都合よろしき日時、ならびに貴門に至る道筋の略図などをお示し下さらば幸甚に存じます、と私も異様に緊張して書き送ってやったのである。先方の宛名は、小坂吉之助氏というのであった。翌る日、眼光鋭く、気品の高い老紳士が私の陋屋を訪れた。