轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

びんじょうのずえ

便乗の図絵

宮本 百合子

「光」1948(昭和23)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,614 字 · 19 页

青空文庫

便乗という言葉は、バスにのりおくれまい、という表現と前後した。翼賛議員になる時勢のバスにのりおくれまいとあわてる人々の姿をからかい気味に形容したことばであった。

ところで、便乗という言葉はひところあれほどひろくはやったが、真実のところでは、日本の人口のどれだけの部分が、その人たちの生活の現実で時勢に便乗したのであったろうか。便乗という言葉が日本の津々浦々にまではやったのにくらべて、現実に便乗してしっかり何かの利得を掴んだという人の数がすくないのに、むしろびっくりしはしないだろうか。

戦争がだんだん大規模になって行った時期、軍需会社は大小を問わず儲けはじめた。ひところは小さい町工場でも人をふやして、下受け仕事に忙しくなった。けれども、一つ町内でそういう風に戦時景気に便乗していくらかでも甘い目を見た家の数と、毎日毎日、日の丸をふって働き手を戦争へ送り出し、そのために日々の生計が不安になっていった家の数をくらべて見たらどうだったろう。どんな町でも村でも、目立って景気がよくなったと見えるところは十軒たらずで、のこった数百軒、数千軒の家は、軍需景気につれての物価高にじりりじりりとさいなまれはじめて来ていたのが実際であった。