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しゅんかん

俊寛

倉田 百三

「新小説」1919(大正8)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页

青空文庫

康頼 あゝ、わしがあの時に受けた屈辱を思えば胸が悪くなる!

成経 野武士らはわしの懇願を下等な怒罵をもって拒絶した。そして扉を破って闖入し、武者草鞋のままでわしの館を蹂躪した。わしはすぐに飛び出て馬車に乗った。彼らが妻を侮辱することを恐れたから。

康頼 北の方はどうされました。

成経 母は父の安否ばかり心配して泣いていました。そしてなぜわしがかかる恐ろしいことを企てたかをかきくどきました。父はその朝院に出仕する途中を捕えられたのです。

康頼 あゝ。成親殿はどうされたやら。

成経 父のことを思うのはわしの地獄です。清盛は謀叛の巨魁として父をもっとも憎んでいました。清盛が父を捕えていかに復讐的に侮辱したか。わしはそれを聞いた時むしろ死を欲しました。わしは馬車の中で警固の武士らに父の安否をききました。彼らは詳しく詳しく語りました。不必要な微細なことまで。わしをはずかしめるために。清盛は西八条の邸で父を地べたにけり落としたそうです。その時父が冠をたたき落とされて、あわてて拾おうとしたことまで彼らは語りました。その時清盛がまたけったので父は鼻柱が砕けて黒血がたれた。