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しゅんかん
俊寛
倉田 百三
「新小説」1919(大正8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页
に悲しみました。それから七年の間あなたの赦免のことがある日をあけくれ待ちわびていました。けれど七年がむなしく過ぎました。待ちあぐんだ末、私は堪えきれなくなって人目を忍びこの島に尋ねてまいりました。せめて今生に一度だけでもお目にかかりたいと思って。
俊寛 あゝ、お前にふたたび会えようとは! はるばると来てくれたか。わしのすべての友、すべての家来がわしを見捨てたのに。この島の漁師さえわしをあなどり、餓鬼を恐れるようにわしを避けようとするのに。
有王 私の尊いご主人様、私はあなたのために命を惜しみませぬ。幼い時からあなたに受けたご恩を思えば、私はよろこんであなたのために死にまする。
俊寛 わしは絶望のあまり幾度も幾度も死にかけた。深い海やけわしい岩かどは、絶え間なくわしを死に誘うた。だがわしの妻子の愛着がわしを死なせなかった。この地上のどこかで妻や子が生きているのだと思えばわしは死ねなかった。しかもきっと不幸と恥辱との中に。有王よ、わしは妻子の安否を気づかった時、いつもお前のことを頼みにしていた。すべての家来はそむき去っても、お前だけはきっと最後まで命をかけても彼らを守ってくれると信じていた。