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しゅんかん
俊寛
倉田 百三
「新小説」1919(大正8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页
宗盛の首は梟せられよ。維盛は刃にたおれよ。わしは清盛の女の胎を呪うたぞ。その胎よりいずるものは水におぼれよ。平家に禍あれ。禍あれ。平家の運命に火を積むぞ。平家の氏に呪いをおくぞ。たねのたね、すえのすえまで呪うたぞ。清盛よ、汝を地獄に伴いゆくぞ。(月雲を離れ俊寛の顔を照らす。月をにらんで)汝、僭冒者よ。天の座よりおちおれい。(天に向かって唾を吐く。風のため唾ことごとく俊寛の顔にかかる。俊寛狂うがごとく)悪鬼よ。羅刹よ。妖魔よ。来たってわがまわりにつどえ。すべて汝らの族に属するものことごとく来たってわが呪いに名を署せよ。わしは今わしの魂魄を永劫に汝らの手に渡すぞ。おゝ清盛よ。奈落の底で待っているぞ。(岩かどに頭を打ちつける。倒れる)
間。
有王 (登場)ご主人様。(うろうろ捜す)あゝどこにゆかれたか。あゝわかっている。わかっている。何をあなたが思いつかれたか! あゝ恐ろしい。ご主人様。(砂の上に血の痕を見つける)おゝ。(血の痕をたどり、岩の上によじ、俊寛の死骸を見つける)おゝご主人様。(俊寛を抱き起こす。すでに絶息しおるを知る。地に倒れる。やがて起き上がり俊寛を抱きしめる。