轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぞくしゅう
俗臭
織田 作之助
「海風 第五巻六号」海風社、1939(昭和14)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,630 字 · 70 页
それ故、この様に人情味を発揮してくれるのは困るのだ。落ちぶれた者同志ではお互いに同情もある。そんな同情をむやみに出してくれては、一層困るのだ。が、とにかく、話は纏ったのだ。一月下旬のある夜、千恵造は内地へ帰って来た。伝三郎夫妻が大阪駅まで出迎えに行った。
プラットホームに汽車がはいると、伝三郎は妻を叱りとばしながら、右往左往し、やっと車窓に、船司の顔を見つけた。船司は伝三郎の顔を見ると、如何にもつまらなさそうな表情をし、傍を指さした。千恵造の外に、賀来子の姿も見えたので、伝三郎は、あっと思い、久し振りに会う弟にいう可く準備して来た「よう帰って来た」という言葉が出なかった。賀来子が伝三郎の妻に挨拶している間、兄弟は、ぽかんと突っ立ったまゝ、それ/″\お互いの妙な顔を見守るばかりだった。いわば、伝三郎は狐につまゝれた形だ。伝三郎の言を借りると、「うちの女房が双子産みくさった様な気持がした」のだ。
が、事情を訊いてみて一応釈然とした。賀来子は、千恵造と別れるとなればもう朝鮮にいる必要も気持もない、どうせ内地へ帰るのだから、それならば同じく内地へ帰る千恵造と一緒に……と思ったというのだ。