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はいゆうりんり
俳優倫理
岸田 国士
「演劇映画研究所での講義」1940(昭和15)年4月23日開始
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,412 字 · 104 页
しかもこれを表現するために、例の感受性とともに、この想像力が再び働かなければなりません。
想像力はどこから湧いて来るか。丁度さっき感性の所でいいましたように、今までの経験で記憶というものの堆積が誰にでもありますが、そういうものを自由に組み合せることのできる能力というものが想像力の土台になる。
頭の中にいろいろな経験というものがつみ重ねられて、それが記憶となって残っています。その記憶がただ固定して、動かずにいるだけでは、ただ記憶の役目しか果しません。それに黴が生えているような状態になって残っているというだけではいけない。それが必要に応じて自由自在に動かし得るような状態になっていなければいけない。これが人間の想像力というものの土台になる。ですからかりに先天的にそういう性質をもっている人間がいたとしても、やはり経験というものがそれを生かすのです。その経験というのは、決して自分があることをするということばかりが経験ではない。小説家があることを想像で描くということをいいますが、その想像力はやはり経験というものが土台になって、そこでその働きが生れるのです。しかし、小説家が自分の小説に書いたような事柄を悉くやっているのかというと決してそうではない。