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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

という方が「元日」という感じをしっかりと人の頭に起こす。これは「や」の字の働きといわねばならぬ。「や」の字の説明はまだ足りぬが、先ず上陳の如く、切字として、文章の一段落をなし、かつ文字の節略を為すという事が、不取敢ここに説明して置くべき二つの大きな働きであろうと思う。次に「草の戸ごしの麦畑」というのは、等持院寓居の目前の景色で、「草の戸」というのは、草を結んだ戸、草でこしらえた戸、というので麁末な戸の事、その戸を越して彼方に麦畑が見えるというのである。なおこれを詳しく説明すると、あまり高くない竹垣か生垣が庭を囲うておる。その垣の中ほどにいわゆる柴の編戸とでもいうような、麁末な戸がある。座敷に坐るか、縁にでも出て見ると、その戸を越して、即ち戸の上から向うに、ひろびろと麦畑が見えるというのである。草の戸というのは、元来草で編んだ戸の事であったらしいが、前にもいう如く、麁末な戸というべき場合に、後には草の戸というようになったのである。草庵というのも、佗び住んだ庵で、必ず草で葺いた庵ではなく、草家というのも必ず草で葺いた家ではない。草戸もそれと同じ事である。