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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

その用事というのも恐らくしかつめらしい殺風景な用事ではなく、何か文芸に関することとか、もしくは多少艶味を含んだ情事に関することかであったろう、こちらから遣った手紙には十分に意を尽くし情を籠めて長い文句を書いてやったのであるから、その返事も同じような情意を尽くした長いものであろうと予期していたのに、それは余り短い返事であったというのである。即ちこの句のうちには春の暮れ行く怨みの上にその返事の余りに短かかったのをも怨む意が含まれているのである。

行春や選者を怨む歌の主    蕪村

前の句から聯想してこの句を思い出したからついでに解釈する。晩春の怨につけて人に対する怨を叙した点は両句共に同一である。昔平家の武士の忠度は俊成卿の『千載集』の中に自分の歌を読人知らずとして載せられたのを残念に思って、戦に赴く前に俊成の門を叩いて、その怨を陳べたというようなこともある。そればかりでなく自分の歌について選者を怨むというようなことは随分ありがちの事である。同じ怨みでも一句の歌の主、即ち作者が選者を怨むというようなところには、やさしいみやびたところがある。それが暮春の情とよく調和するところから、この蕪村の句は出来たのである。