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はいくはかくかいしかくあじわう
俳句はかく解しかく味う
高浜 虚子
「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页
この句は別に王位を退いたものとは見られぬが、とにかく自分の領土を離れて単に一人の旅人となれば、もう自分の身にはその王位はなくなって、いかにも気軽な一私人となったのである、折節時候は春の事であるから、うららかな春風はその一私人の衣を吹いて、心も身ものびのびとするというのである。
豪奢飽きて心に遊ぶ春日かな 水巴
豪奢の限りを尽くして、物質上の慾望は出来る限りの事をした。さてやはりこれでもう満足という処には達しないで、何か物足らぬものがある、この上はどうしたらいいか、唯心の上の快楽を求めるより外に道がないと悟って、心に遊ぶというのである。心の快楽というのは、ものを遠方に求めるというのでなく、一輪の椿の花を見てもそれを味う上に心の快楽を得る、唯机に凭れているばかりであるけれども、油然として楽しいのはやはり心一つに遊ぶからである、というような、そういう心の遊びである。贅沢の限りを尽くした人の最後の落著き場所である。それが貴い悟りであるかも知れぬ、また止むを得ぬ諦めであるかも知れぬ。
出代のおのが膳拭くなごりかな 青々
出代の事は前に言った。その時も言ったように出代りの句には出て行く方の古い奉公人の方を咏じたものが多いのであるが、これもその一例である。