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はいくはかくかいしかくあじわう
俳句はかく解しかく味う
高浜 虚子
「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页
活け下手の椿に彼方向かれけり 蓼太
これは落椿を言ったのではないが、やはり椿の花の目立たしい心持は前句と同じことである。即ち花生けに椿の花を生けようとする場合に、手並が上手でないために、椿の花が正面を向かずに向うを向いたというのである。これも椿の花に限らず、どの生花にもよくあることであるけれども、あのものものしげな大きな花であること――椿の花の重いこと――椿の花の向うに向いたという事の目立つ事――等が特にこの花について言ったのである。この蓼太というのは天明時代の名高い俳人の一人で、彼の嵐雪の何代目かの後継者になっているのであるが、蕪村などに比べると名高い割に句は上手ではなかったのである。才智は縦横であったようだが、趣味の上において大分劣っておったようである。この句の如きも、「活け下手」という言葉も俗臭があり、椿を擬人法にして、下手の力の及ばぬままに椿の花に向うに向かれてしまったという風に叙したところも気が利いていてかえって厭味になっている。天保時代の梅室、蒼あたりの句を月並調と言って排斥するのであるが、天明時代のこの蓼太の句などに、すでにその傾向は多少見えていたのである。