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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

蕪村集中の佳句の方ではない。

昼舟に狂女のせたり春の水    蕪村

謡曲『隅田川』の狂女を画にしたような句である。舟に狂女が乗ってそれが春の川に浮んでおる、というのである。殊に昼舟と断ったのは、朝でもなく夕方でもなく――勿論夜でもなく――春の日永の頃の、しかも真昼中であるというところに、一層ゆったりしたような心持を含ませたものであろう。物狂といいながらも、そう乱暴をするような狂女ではなくって――たとえば謡曲『隅田川』の狂女のように、都鳥の問答をしたりするようなやさしい狂女であって――それが川を渡るためか何かで舟に乗っている、その女が普通の女と違うところに、かえってゆったりした心持がある。それが前いうように昼間であるということが、いよいよその心持を強めるのである。前の僧都の句と似寄った句であるけれども、こちらがいくらか作りものであるという痕跡が少ないかとも思う。しかし程度も先ず似寄った句である。

重箱を洗ふて汲むや春の水    蕪村

これは些細な人事を咏じたものであるけれども、前の二句などに比すればよほど自然である。何処か水辺に野遊びに行った時か、もしくは舟遊びをしている時かの光景で、携えて行った行厨を開いて楽しい昼飯を食った、その御馳走の空になった重箱をすぐ其処の水で洗って、その重箱に水を汲み上げた、という