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はいくはかくかいしかくあじわう
俳句はかく解しかく味う
高浜 虚子
「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页
一概にそうばかりとはいえないが、作者を離して俳句を考えることの出来ない場合は決して少くはないのである。次に天明に移ると、
おもひ出て酢つくる僧よ秋の風 蕪村
ふと思い出でて、そうだ一つ酢を作って見ようと言って、或坊主がそれに取りかかった、それは秋風の吹く頃であったというのである。別に秋風に酢っぱい味があるというのではないが、夏も過ぎて秋風の吹く頃になると人の心も引きしまり、忘れていた事も思い出しやすく、その上酒などと違って酢というものを造ることを思い立ったという処に、何だかその秋風に心の引きしまった僧の思いつく事として、さもありそうなことのように思われる。これが牡丹餅を作るとか白酒を作るとかいうのに比べて見ると、その冷めたい酸っぱ味のする酢を作るという所に、どうしても秋の心持がある。
秋の風芙蓉に雛を見付たり 蓼太
この句は蓼太の句としてはいい句である。別に秋風の淋しさを言おうとしたような句ではなくって、むしろ下十二字で叙した芙蓉の花の下に鶏の雛を見つけたという事の添物として置かれたに過ぎないといってよいのである。あの小さい雛がどこへ行ったか見えなくなった。