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はいくじょうのきょうとえど

俳句上の京と江戸

正岡 子規

「種ふくべ」1900(明治33)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,442 字 · 15 页

青空文庫

の変な題まで網羅せられて居るです。

それから蕪村はどうかというと、これは少し変則です。蕪村の句の磊落な処は、たしかに江戸風が侵入していまして、純粋の京風とはいえません。そのわけは前にも言いましたように、蕪村は江戸でしこんで江戸の代物を京に持って往たのですから、いわば蕪村は京と江戸と両方の長所を取って大成したのであります。芭蕉は京と江戸と両方にぶらついていました位で、芭蕉の句には種々の変化がありますが、大ねが上方そだちだけに、どうしても上方の分子が多いのです。しかし蕪村は長く江戸にいたために、巧に両元素を調和しております。もっとも蕪村にも京風が半分まじって居るのはいうまでもないので、

雛祭る都はづれや桃の月        蕪村

しのゝめに小雨降り出す焼野かな    同

狩衣の袖の裏這ふ蛍かな        同

春や穂麦が中の水車          同

欠け/\て月もなくなる夜寒かな    同

鶯の鳴くや師走の羅生門        同

たんぽゝの忘れ花あり路の霜      同

というように、おとなしくすらすらとして、いつも平和の気象がある。この平和の気象が江戸の句には極めて少いです。