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はいくじょうのきょうとえど

俳句上の京と江戸

正岡 子規

「種ふくべ」1900(明治33)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,442 字 · 15 页

青空文庫

殊に太祇、蕪村などは京の台木へ江戸の椄穂を椄いだというのであるから、江戸を全く蹈み倒す訳にも行かず、先ず無勝負として置くが善かろうと思います。

今までは京と江戸の俳人の比較をして見たのですが、今度は京と江戸の俳風の比較をして見たいと思うのです。この俳風の比較というは、俳人の比較よりも趣味の多い問題であるから、細しくやって見たいのですが、そうすると余り長くなりますから、少しくやって見ましょう。

京と江戸の俳風を比較するには、先ず初に、大体の上に京風、江戸風というおのおのの特色があるかないかを仮定して、その後に各句を比較して、仮定の当否を吟味するが分りやすかろうと思うから、ちょっと総論をして置きます。私の考では京には京風、江戸には江戸風という特色があって、京の俳句は、何時の時代でも誰の派でも誰の作でも、多少の変化ある内に一種の京の分子が這入って居る、それだから甲の人と乙の人とは大変に違うて居るようであるが、それを江戸の人のに比べると、江戸の句とは大変に違うて、かえって甲と乙とに何処か似よりを感ずる、その似よりが即ち京風なのです。江戸風の江戸におけるも同じ訳であります。