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きずだらけのあし

傷だらけの足

宮本 百合子

ふたたび純潔について

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,697 字 · 20 页

青空文庫

下士官広瀬は、榕子によって強い精神とされる精神の所有者であり、現実における辻政信その他の人々も、石川達三という作家によってうまれている彼女の流儀によれば、やはり強い精神をもって、日本のこんにちに暗く作用しつつある。「結婚の生態」「生きている兵隊」を通して「風にそよぐ葦」にいたってそれらのテーマの反覆統一として榕子を描いている作者の精神も、その角度からならば、強い芸術の精神といわれるのであろうか。もしこの架空会見記をどこかに一人の女性として生活しているモデルと仮想されている人が読んだならば、彼女は描かれた女主人公榕子の人間性の粗末さと発展の可能性の失われている性格について抗議のしようもないひそかな憤りを感じているのではないだろうか。

こんにちわたしたちが生きているために、食うこと、住むことの問題に基礎をおいて理性に負うている苦しみ、人間心情にうけている痛みは、多種多様であり、どんなファウスト博士の試験管の中にも、「純潔人間」は存在しない。わたしたちにわかっているただ一つのものは、わたしたちは、「人間らしく」あろうと努力して、戦争そのほかあらゆる「人間らしくないもの」