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はたらくふじん

働く婦人

宮本 百合子

「改造」1940(昭和15)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,039 字 · 8 页

青空文庫

この頃は、女のひと、という響につれて、すぐに人の心に何かの意味で、働いている女のひとという感じが浮ぶようになって来ていると思う。その点では、家庭の女というものの感じかたも自他ともに変化して来ていて、家庭の女の生活が、時代の風波から離れた片隅の幸福に保証されているものだと思っているひともなくなった。新聞のほんとうの社会欄は婦人欄へ移った、と云ったことがあるが、この表現には今日の社会生活の現実の姿がなかなかうまく云いあてられている。これまでは家庭の主婦たちのためにあった家庭欄の記事を、今日という時代は男にも深い関心をもって読ませる。炭の合理的な使いようは日々のこととして男にとっても必須になって来ているし、この頃は男は月給袋だけ家へもってかえればいいのでなくて、卵とか干うどんとかバタとか、そんな男の買いものもふえてきているのである。

家のことは女まかせ、という旧い生活感情は一般から急速に崩れて来ているのだが、それならばそのような今日の状態が、男も女とともに家庭経営についてやってゆくように成長したという、社会感情の明るい進歩の証明であるかというとそれは決して簡単に云い切れないと思う。