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はたらくふじん
働く婦人
宮本 百合子
「改造」1940(昭和15)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,039 字 · 8 页
そして、事変から今年は四年目にも当る。ここにも女にとって切ない板ばさみがあらわれている。
各会社の利潤統制から、社員の足どめ策もあって内部の福利施設が行われるようになって来ているそうだが、谷野せつ子氏が熱心に求めている健康保護、災害防止の設備はどの位改善されつつあるのだろうか。関係会社十六社、社員二十五万人の日産では、「むすび会」というのをこしらえ、社員の結婚相談にのり出した。発案者の宇原重役の最初の考えでは、国策に沿うと同時に社員に安心して精励して貰うための、「会社の利益から打算しても、相当の予算を組んでやって決して損とならない一石二鳥の仕事である」と思われたのであった。然し、現実は複雑で、事に当って見ると、先ず結婚の世話に迄のり出せば勢い会社がそれらの人々の生活保障に責任をもたねばならないこととなり、手当を一人分だけですませなくなるということなどから、関係会社は一向気のりして来ないのだそうだ。「むすび会」は事実上高級社員、確かな人物という範囲でだけ動いていて、社内一般の労務者の生活のよろこびの源とはなっていないわけである。ここに、営利会社というものの本質からの撞着の姿があるし、働く男女のおかれている社会の条件のむきつけな露出もあると思う。