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はたらくふじん
働く婦人
宮本 百合子
「改造」1940(昭和15)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,039 字 · 8 页
国家が賃銀制その他をきわめてゆくからには、働く女のための施設について、制度としてそれを各工場や経営に行わせてゆくのは決して不可能なことではない。今日の常識は、明日の日本のためにそれを極めて当然な緊急時としているのである。
社会的な働きと家庭との間で女を板ばさみにしている荒い現実は、変な心理にも歪んで表現されているのではなかろうか。たとえば、この頃ちょいちょい耳にする二人連れへの咎めだても、人気の時代的な荒っぽさにつれて女というものへの何か動物的な偏見の心理が感じられる。働く女がこんな勢で殖えているのだから、働く男女らしい傍目にも心持よい二人連れが殖えてゆくのは自然だろうのに、咎めだてされなければならない一組がふえているだけだとしたら、それは余り惨めだと思う。堅気の働く若い娘なんか、二人連で外を歩いたりしないし、又そんな時間があるものかとそれを正常と思われているとすれば、そこには又それとして納得しがたい若い人生の声々があるだろうと思う。
〔一九四〇年十二月〕